愛の標識

これが多分 運命だったんだよ

映画「君の名は。」を見て傷口に塩を塗られたような気持ちになった。

 


ちまたで大ヒットしている映画「君の名は。」をようやっと見に行ってきました。
公開前から音楽面でもアツイな…!これは必ず劇場で見たい!と期待していたし、公開後も周囲の人間が軒並み「良かった」と言っているので、自分の中でハードルを上げすぎないようにしながら、それでも期待して見ました。

結果、もし周りからどうだった?と聞かれたら
「良かった…!」と私も答えます。

でも、ただ単純に手放しで良かっただけではなく、ある種の痛みを伴う、深イイ感じ…でしょうか。

良かったと思う点については細々とあるので、以下、その辺を適当につらつらと書きます。
ネタバレ要素があるかもしれないので、ネタバレしたくない方は見ないでくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

・田舎で育つことの苦しさ、苦悩
今回、育った環境も立場もまったく異なる2人が入れ替わり惹かれあっていくストーリーですが、三葉は田舎の町で育った女の子です。
この設定の中で、田舎で育った者だからこそ共感できる、田舎の人間関係の苦しさ、苦悩をとても丁寧に描いているな、と感じました。
新海誠 監督は長野県出身とのことですが、私も近いところで生まれ育ったので、映画の中で三葉の生まれ育った町の風景を見ていても自分の幼少期と重なるところが多々ありました。
自分も田舎への不満、すごく抱いてたなあ、と。自分はよく知らない近所のおばあちゃんから「〇〇さんちの〇〇ちゃんはきちんと挨拶ができる」とか声かけられたり、自分の知らないところで近所の人から自分が評価されたり、そもそも人と人の繋がりがとても密で、大人になった今ではそれがいいこともあると思えるようになっているけど、その閉鎖的な人間関係が嫌でたまらなかった気持ちを思い出しました。
三葉はより家柄の問題なんかも絡んでいるので、その辺りはより苦悩があるのだと思うのですが…田舎で生まれ育った人なら三葉の立場に少なからず共感できる気がします。

 

神木隆之介くんの演技の上手さ
2人の男女がお互いに入れ替わる、という設定なので、顔も声も瀧くんなんだけど、中身は三葉というシーンが多く登場します。そこで神木くんの演技の上手さが光る。中身は三葉なので、初めて見る男子の体に戸惑うさま、憧れの都会生活に喜ぶさま、本当に中身は女の子の三葉なのだと思わせる名演技!ただ三葉になりきれているからこそ、オネエ感漂う感じがクスッと笑える。
笑いの要素もきちんと入っていて、ただ泣かせに来るだけの映画ではなくちゃんとしたエンターテインメントになっていたように感じます。

 

 

・殺伐とした現代社会を癒す映像美とストーリーの残酷なまでの美しさ

全編を通して風景がとにかく美しかった。とくに三葉の住む田舎町の自然の描写なんかはとくに美しく丁寧に描かれているなあ、と感動しました。もちろん瀧が住む東京の街も然り。ほんとに丁寧に作り上げられたんだろうなあ、と映画の細かいことを知らないど素人の私でもそう感じました。
そして、エンドロールで私は得体の知れない悲しさに襲われて、それが苦しくて感動というよりは傷口に塩を塗られた痛さでうるっときたところがありました。
その得体の知れない悲しさ、についてはおそらく2人の恋愛があまりにも綺麗すぎたこと、自分はそんな綺麗な人間ではないんだということを突きつけられたような気がしたんだと思います。
ほんとは自分だってこんな風に純粋に誰かを好きでいたい、好きだと思われたい、そんな綺麗な人間でいたい、という願いというか…それを突きつけられたようで胸が痛かった…!
ただ、そこで痛さで悶え死ぬことはなく、エンドロールで流れる主題歌がいい味を出してたのでなんだか救われたような気持ちでスッと見終えることができたように思います。ありがとう、RADWIMPS

 

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)

 

 


ちなみに私は先に小説を読んでしまっていたので、ストーリーのオチを知っている状態で映画を見ました。なので、映画と小説の答え合わせのような感覚で見ていたところが大きく、まったく何も知らないままだったらもっと衝撃や感動が大きかったのかもしれません。

 

 

以上、個人的な感想でした。お粗末さまです。